ガールズ・ポップの歌手たちは、女性から見て好ましい女性像を個性として見せていた。これは、アナログレコード時代にデビューしたスター女性歌手たちが、男性を購買層に想定していること、あるいは人気を支えたのが男性層だったのとは対照的である。例えば山口百恵(七二年デビュー)、松田聖子(八〇年)、中森明菜(八二年)、小泉今日子(八三年)、菊池桃子(八四年)らは、それぞれ微妙な個性の違いはあるものの、おしなべて「男性から見て好ましい女性像」という個性を持っていた。
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CD時代に入って、ポピュラー音楽産業が新しい顧客層=聴き手である「女性」の視点を前提に商品開発を始めたことがあきらかであろう。彼女たちがデビューしたのとほぼ同時期の八六年四月に「男女雇用機会均等法」が施行されたことも、忘れてはなるまい。この法律のおかげで、企業は性別を理由とした雇用差別ができなくなった(施行以前は「男子学生のみ採用予定」という企業が少なくなかった)。これは女性が男性と同等の所得を得て、同等の購買力を身につけるという時代の幕開けでもある。商品購買者としての女性が大きな影響力を発揮する現象の第一歩だったのである。