「先生は、今まで生きてきた中でいつの時代が一番よかったですか?」と聞かれることがよくある。俺の答えは決まっている。「いつでもよかった。今もいい」暴走族のころ、高校を卒業して働いていたころ、大学受験、学生時代、代ゼミのころ、そして吉野塾と東進ハイスクールの今。俺はいつでも楽しかったし、一生懸命だった。だから、「いつの時代もいい」としか答えようがないんだ。俺がおまえたちから聞きたくないのは、「昔はよかった」っていう言葉だ。じゃあ、今はよくないのか?昔に戻れるのか?いつまでも自由で楽しかった昔を思い出したり、過去の栄光に浸ったりしながら、年を取っていくのか?いい加減、目を覚ませよ。元禄時代の俳人・横井也有が書いた『鶉衣(うずらころも)』の一節に、「歌も浄るりも落し咄も、昔は今のにまさりしものをと、老人ごとに覚えたるは、をのが心の愚なり」という文がある。意味は、「歌も浄瑠璃も落語も、昔は今のものよりもよかったのになあと、どの老人も思っているのは、自分の心が愚かだからである」となる。
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