丹後半島の沖でズワイガニの調査をするたびに、大陸棚斜面の海底近くに流速計を降ろして海流の速さを測っているが、丹後の沖では、早いときで一秒間に五センチ。海面で毎秒六、七十センチの海流があっても、大陸棚の海底は常におだやかで、わずかな水の動きで舞い上がってしまう沈積物が降り積もっている。ズワイガニは、この沈積物から出来ている軟泥な底質の上を長い脚で歩き、時には泥の中に潜り込んでいる。無論、ズワイガニだけが海底の住民ではなく、底引き網に入ってくる魚類だけでも百種類以上、エビや貝などを含めると三百種類程度はいる。これら全ての勤物たちはそれぞれ関わりをもって生活しているが、一般に水深二百メートル以深では環境が単純化するため、深海になるほど種類も量も少なくなる。