アルミ缶とひとことで言うが、じつは蓋と胴体は組成か同じではない。蓋のアルミは#5000系のアルミであり、胴の部分のアルミは#3000系で、組成か多少異なっている。蓋の部分はマグネシウムが三・八%と多い。アルミ缶の場合、タブのある蓋には切れやすい金属を使う。蓋よりもずっと薄い胴には、鋭い角にぶつかっても切れない金属を使う必要がある。見た目は単純な容器、じつはけっこうハイテク材料だといえる。消費後に回収したアルミ缶は、プレスして再生業社に渡る。沿の表面の塗装は、燃やして除く。缶を細かく砕いたチップを炉に入れ、振動を与えながら熱すると、表面の塗装が燃えてしまう。以前は、アルミ缶の色を真っ白にする目的で、酸化チタンを含む塗料(ベースコート)を塗ったものが多かった。酸化チタンかアルミ再生工程に入り込むと、チタンに還元され、アルミ地金の不純物になる。それを避けるため、最近は酸化チタンのベースコートはあまり使われない。そのあと溶融炉に入れ、アルミを融かす。蓋の成分だったマグネシウムは酸化され、ドロスという状態になって。融けたアルミニウムの上に浮くから。それを取り除く。つまり、蓋に入っていたマグネシウムは除かれてしまう。かたやマンガンは普通に融けるため、マンガンの含有量は下がらない。となれば、アルミ缶をリサイクルでアルミの二次地金に再生すると、組成は胴の材料に近くなり、蓋材には戻せないことになる。だから蓋の材料はすべて新地金で作る。そこを改善するには、胴も蓋も同じ組成のアルミ合金で作ればよい。欧米にはそんな「ユニアロイ」があるが、日本のように高品質な容器を求める国では、すぐは実用になりそうもない。いずれにせよアルミ缶のリサイクルは、「容器容排(もとの容器をリサイクルして、同じ用途の容器をつくること)」が実現できている点で、なかなかの優等生だといえよう。一般に、アルミ容器のような材料にする地金は、実在物の量を十分に減らす必要があり、リサイクル素材でそれを実現するのは容易ではない。アルミ缶の場合は、新しい技術が容器のリサイクルを可能にした。それは、融けた金属をセラミックス製フィルターで濾す技術である。